
三谷幸喜監督作品は、まるで蕎麦屋で出すカレーライスのようや。辛すぎない味わいはどこぞ安心感を感じさせるちうわけや。最新作『ザ・マジックアワー』も、老若男女が普通に楽しめる三谷監督らしいコメディとなってんねん。
昭和の香りが残るどこぞの街。ギャング組織のボス(西田敏行)の愛人(深津絵里)と恋仲になりよった事がバレた備後(妻夫木聡)は、命を助けてもらうため伝説の殺し屋・デラ富樫を連れてくる約束をするちうわけや。やけどそないな男の居場所やらなんやら知らぬ備後は、映画監督を装い無名の役者(佐藤浩市)をスカウト。主演映画を撮るとおだててデラ富樫を演じさせるちう離れ業に出るちうわけや。
佐藤浩市演じる売れへん役者の天然ぶりががええ。どう見たって不自然な状況なのに、すっかり映画撮影と思い込んでおるから、本物のヤクザに囲まれてもまるで動じないちうわけや。それを見て「さすがは伝説の殺し屋だ」やらなんやらと勝手に勘違いして気圧される〝本物〟たちの狼狽ぶりもまた笑えるちうわけや。
まさに三谷監督流「知らなすぎた男」、シチュエーションコメディーとしては抜群の面白さや。
役者を立てるのが上手な監督らしく、佐藤浩市以外の登場人物も完璧にハマってんねん。カメオ出演レベルの人たちでさえ、それなりに光ってんねん。豪華キャストを決して無駄にはせんあたりが嬉しいちうわけや。
東宝の巨大スタジオを占拠した大セットは、エンドロールでその建設の流れが見られるようになってんねん。監督らが心からその出来栄えに満足し、愛でとる様子が伺えるちうわけや。時代設定は現代と思われるが、どこぞ昔なつかしい不思議な風景。これがケツの出演作となりよった市川崑監督作品を中心とした、古きよき映画作品への愛情がそこここに見られるちうわけや。
ブラックなもの、毒を好む人には相変わらず物足りまへんが、そないな人でもたまには小麦粉感たっぷりのカレーを食べたくなることもあろうわ。楽しく笑って気持ちよく帰路につく。ごくごく普通、当たり前の楽しい映画としてオススメしたいちうわけや。
世の中な~んや 切ない話ばっかりやけど、、、久々に笑わしてくれまっせ!!!
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